2019年11月のある日、ANAのNH008便を使って、成田空港からサンフランシスコに向かう予定がありました。しかし、成田空港のチェックインカウンターで思わぬトラブルが発生しました。そのトラブルは、タイトルにもある通り「ESTAの有効期限切れ」です。

もちろん、アメリカ本土に渡米するためには有効なESTAを保持している必要があるため、大ピンチです。このような大ピンチに陥った時に、どうするべきかについてまとめてみました。

ESTAとは?

2009年1月以降、アメリカに渡航する際は搭乗前にESTA(電子渡航認証システム)の取得が必要です。これには、アメリカを経由して第3国に行く場合であっても必要となります。ESTAの取得は、オンラインで完結しますが、申請から承認までは最長72時間を有します。また、一度取得したESTAは、2年もしくはパスポート有効期限のいずれか早い日付まで有効になります。

2つの経験談

自身の経験

2019年11月のある日曜日の夕方のNH008便を利用してサンフランシスコに行く予定でした。事前のオンライン・チェックインは行なっておらず、14:45頃に成田空港に到着して、ビジネスクラス・カウンター(SFCを保有しているため)にてチェックインを行おうとしました。すると、担当してくださったANAのスタッフの方から、「有効なESTAが存在しないようですが」といったことを伝えられました。一瞬、どういうことかよく分からなくなりました。私自身、この時はESTAについて十分な知識を持っておらず、パスポートが有効な限り利用可能だと思い込んでおり、2年で有効期限を迎えることを知らなかったため、確認することを怠っていました。

チェックインのスタッフの方の好意により、本来のチェックイン締め切り時刻は、搭乗2時間前の15:00ですが、

  • 16:00までにチェックインが行われれば問題なし
  • 16:30までにチェックインが行われれば、預入荷物不可だがチェックイン可

のように手配していただきました。

結果として、このタイミングでチェックインを行うことができず、至急ESTAの申請を行う必要が出てきました。最初は、スマートフォンで申請作業を進めていましたが、エラーが発生したり、Webサイトの読み込みが遅かったりで思い通りに申請を進めることができませんでした。そのため、途中からは「スマートフォン」「タブレット」「ノートパソコン」の3台を並列で申請作業を行うことにしました。申請完了まで最も早く進めるための荒技といえます。もちろん、どれか1台が最後まで申請完了したら、他のデバイスは作業は中断する形になります。結果、後から申請作業をはじめたノートパソコンが最終的にもっとも早く申請完了まで進めることができました。

諸々の申請が終わったのは、15:20となります。チェックインのスタッフの方の話によると、最短で15分程度、最長では72時間がESTAの承認にかかる必要時間のようです。第1デッドラインまでは40分、最終デッドラインまでは70分なので、締め切りに間に合うかどうかは全く読めません。

当初の予定では、チェックイン、保安検査・出国手続きを超えた後、ANAラウンジに行って少し遅めの昼食をとる予定でしたが、それを実現することは難しそうで、また空腹でもあったので、とりあえず簡単に空港の非制限エリアの飲食店で簡単に食事をすることにしました。

とは言え、ゆっくり食事することも難しく、デッドラインに間に合わなかった時の手段について検討していました。別手段については、本記事後半で紹介したいと思います。

食事を終え、幾度とESTAのステータスページを更新していたところ、15:50頃にESTAの承認が完了していることに気づき、急いでチェックインカウンターに行き、チェックイン処理を進めてもらいました。

最終的に、16:00までにチェックインを行うことができたので、スーツケースを預入れすることもでき、なんとか当初の予定通りのフライトで渡米できることが決まりました。

この例の場合、デッドラインまで、1時間ちょっとの時間でESTAの期限切れに気づき、ギリギリで承認が完了したラッキーパターンとなります。

友人の経験

友人の中にも上記と似たような状況を経験したことがある人がいるため、紹介したいと思います。その人の場合も同様に、NH008便を用いて成田空港からサンフランシスコ国際空港に向かう予定でした。搭乗の前日夜にESTAの申請を行ったものの申請から20時間程度が経過したチェックイン時刻時点でも申請したESTAは承認されておらず、また出発時刻になっても審査中のままだったようです。結果的にその友人は当初の便には搭乗することができず、翌日のロサンゼルス経由便に振り替えてもらうことになったようです。

2つの経験談について

自分の場合は、申請から30分程度で承認されましたが、友人の場合は20時間経っても承認されなかったようで、タイミングや様々な理由でESTAの承認に必要な時間は様々なようです。20時間経っても承認されないこともあるので、やはり公式情報の通り、搭乗の72時間前までに申請を行っておく必要がありそうです。また、自分の場合は、30分で承認されたため、かなり運がよかったのだと思います。

ESTA有効期限切れ時の行動

では、今回おESTA有効期限切れを経験してみて、このような際にどういった行動を取るべきかについて考えてみました。

1. まずは急ぎでESTAの申請に着手

とにかく急ぎでESTAの申請を実施しましょう。ESTAの取得サイトは日本からのアクセスではとにかく遅く、また入力エラーが途中で発生したり、入力項目が多かったりで、申請にはかなりの時間を要します。もし、スマートフォン以外にインターネットにアクセスできる端末があるようであれば、それぞれのデバイスで申請処理を進めることをお勧めします。

2. 翌日便への振替えを見越して予定を調整

ESTAの申請が終わった後は、承認を待つだけですが、デッドラインまでに承認が行われない可能性も十分にあります。もし、翌日便への振替えになった時のことを見越して、可能な予定の調整は早めに行っておきましょう。日本の15:00は、アメリカ太平洋時間では夜の22:00となります。現地在住の方と約束をしている場合はこのタイミングで第1報を入れておくことができれば、現地の方も動きやすいと思います。

3. 当日便でより早く到着する便を検索

ここでは、スターアライアンス便に限定して、経由便を含むその他のフライトを利用して、サンフランシスコまで行く方法を考えます。これは、日本を出発する時刻を少し遅らせることで、より翌日便より早いタイミングでサンフランシスコに到着することを目的とします。

ANA便シアトル経由

サンフランシスコ便の1時間15分後に出発するアメリカ行きのフライトにシアトル便があります。シアトルはサンフランシスコと同じアメリカ西海岸の街であり、サンフランシスコより北に位置しています。シアトル到着後のフライトも、最短で1時間25分の乗り継ぎ時間でアラスカ航空を使ってサンフランシスコに向かうことができます。

このフライトであれば、5時間遅れでサンフランシスコに到着することができます。ただし、日本を出発する時間は、1時間15分しか変わらないので、時間の猶予も1時間15分しかないことを意味します。このタイミングで承認されるかは分からないので、注意が必要です。

ANA便ホノルル経由

サンフランシスコ便の4時間30分後に出発するアメリカ行きのフライトにハワイ・ホノルル便があります。21:30の便は2019年12月時点ではボーイング777での運航ですが、今後エアバス380に置き換えられるものと思われます。このフライトに乗ると、翌朝9:20にホノルルに到着することができます。ホノルルに到着後は、約5時間後にユナイテッド航空がサンフランシスコまで直行便を飛ばしているため、これを利用します。最終目的地のサンフランシスコには21:07に到着します。ホノルル時点で入国審査は済んでいるので、サンフランシスコに到着後はそのまま荷物をピックアップして、市内に向かうことができます。

このフライトでは、サンフランシスコの到着が約12時間遅くなる計算となります。ただし、日本を出発する時刻も当初より4時間30分遅らせることができるので、このタイムラグの間にESTAが承認される可能性も格段に高くなります。

ユナイテッド便グアム経由

これについては、航空会社側がどういった対応を行うかが不明なので、「もしかしたら、こういうルートも可能かも」という認識で見ていただきたいです。ユナイテッド航空が運航する成田空港21:20発のグアム便を利用する方法です。グアムはアメリカ領土でありながら、ESTAを必要としません。また、日本とアメリカの間(どちらかというと日本寄り)に位置しています。このルートが利用可能であれば、もしかしたらESTAが未承認の状態であっても、グアムまでは連れて行ってもらうことが可能かもしれません。グアムを出発し、ESTAが必要なアメリカ領土に向けて出発する時間は日本時刻の翌日6:00頃となります。グアムへの移動時間の間にESTAの承認が行われていることを祈る安となります。

このフライトでは、サンフランシスコの到着は、当初の予定と比べて約20時間遅れる計算となります。もちろん、ESTAを必要とするタイミングも当初より10時間以上遅らせることができるので、このタイムラグでESTAが承認される可能性が高まります。ただし、グアム到着時もESTAが承認されていない場合、その後のスケジュールも大きく変わることになります。

またこのルートはそもそも、「日本 - グアム - ハワイ - サンフランシスコの旅程において、ESTAが承認されていない状態で"日本 - グアム"のフライトに乗せてもらえる場合に限ります。もし、一連の航空券の中にあるアメリカ領土のESTAが承認されていないため、この旅程が不可となる可能性も十分に考えられます。

エアカナダ便バンクーバー経由

こちらも、「ユナイテッド便グアム経由」と近い発送になります。ここでは、グアムではなくカナダのバンクーバーを考えています。バンクーバーは、アメリカとカナダの国境近く、そしてさらにアメリカ大陸の中でも日本に近い西側に位置しております。バンクーバーからサンフランシスコまでは直行便でわずか2時間の距離になっています。つまり、グアム便と同様にバンクーバーまで飛んでいる最中にESTAの承認が下りることを見越したプランになります。ただし、バンクーバー経由の場合はESTAではなく、カナダ用のeTAという電子渡航認証を準備する必要があります。eTAは、ほとんどの申請者は数分で承認メールが届くようなので、ESTAの申し込みを行った後その場で申し込みを行っても、ESTAより早く承認されることの方が多いでしょう。

このフライトでは、サンフランシスコの到着は最短で、当初の予定と比べて約7時間程度遅れる計算となります。さらに、ESTAを必要とするタイミングは当初よりも14時間以上遅らせることができます。これは、バンクーバーとサンフランシスコの距離が近いことが功を奏しています。

グアムルートと同様に、ESTAが承認されていない状態でバンクーバーまでの路線に搭乗することができるかどうか、という懸念点は存在します。その場合は、ユナイテッド航空のマイルを保有している場合は、航空券を成田空港 - バンクーバー、バンクーバー - サンフランシスコの2つに分けて予約し直すのも1つの手となります。遅延時の保証が行われなくなりますが、搭乗するための策となります。

まとめ

今回は、いざ空港でチェックインしようとした時に、ESTAの有効期限切れなどでチェックイン手続きが予定通りできない時の手段について考えてみました。もちろん、ESTAの仕様についてしっかり学習し、有効期限切れにならないように事前準備をすることが重要です。しかし、いざという時の備えについても考えておくと良いでしょう。

また、航空会社側の責任ではないので、振替便の手配を行ってくれるとは限りません。当日便の飛行機の予約には、多くのお金が必要なことが多いです。ただし、ユナイテッド航空であれば、国際線の当日便であっても特典航空券での予約が可能です。いざという時のために、ユナイテッド航空のマイルを一定数保有しておいても良いでしょう。