私は今まで、グアムでのセスナ機操縦を合計3回、ロサンゼルスでのヘリコプター操縦を1回の合計4回、自身の操縦で空を飛んできました。これらの体験を通して、次はジェット機の操縦に憧れを抱くようになりました。しかしながら、ジェット機を一般人が操縦することはほぼ不可能と言えます。

しかしながら有り難いことに、フライトシミュレーターと言うものがあり、これであればジェット機であっても操縦体験することは不可能ではありません。実際、一般の人がフライトシミュレータを体験できる施設は国内にもいくつか存在します。

そこで、本記事では都内近郊エリアで利用できるフライトシミュレーターの施設について紹介したいと思います。

フライトシミュレーター設備の選び方

地方空港の中には、数百円で利用できるフライトシミュレーターが置いてありいつでも利用可能である一方で、数万円しかつ事前の予約が必須なフライトシミュレーターも存在します。これらのフライトシミュレーターの違いについてまず見ていきたいと思います。

利用できる機体

再現度合いの高いフライトシミュレーターの場合、利用できる機体ごとに特化したシミュレーターになるため、利用できる機体による違いが出てきます。単純に空を飛んでみたい、と言うことであればセスナ機用のシミュレーターを使うことで実現できますし、ジェット機を体験して見たいのであればジェット機用のシミュレーターを利用する必要があります。また、戦闘機を試したい場合はまた異なるシミュレーターが必要になってきます。

そのため、フライトシミュレーターを体験したいと思った際は、どんな飛行機で空を飛んでみたいかを考えてみるようにしましょう。

再現度合い

金額に最も影響を与えるのはこの再現度合いです。航空機の動作を最も高度に再現できるフライトシミュレーターは、フル・フライトシミュレーター と呼ばれています。フル・フライトシミュレーターでは、操縦内容や気象情報、位置情報などを元に機体の動きをコンピュータでリアルタイムに計算し、その結果を操作パネルや視界画像、動揺装置、音響などに反映させています。このような高精度のフル・フライトシミュレーターは非常に高価であり、ボーイング737用は約2億1550万円、エアバスA330用は約7億9700万円といった金額となっており、利用するためのハードルはとても高くなります。

一方で、動揺装置を省略したり、視界画像も簡略化を行い、計器飛行状態で飛行中の状態を表現できるものを フライト・トレーニング・デバイス と呼びます。ハードウェアは市販のパソコンや液晶ディスプレイなどを利用し、ソフトウェア部分のみを開発しているものもあり、フル・不ライトシミュレーターに比べて価格が抑えられます。また、利用できる空港や空港路、気象条件などに制限を加えて価格を抑えているものもあります。フライト・トレーニング・デバイスは、再現度合いに応じて本体の価格感は千差万別であり、一般の人が利用できるフライトシミュレーターと言えば、ほとんどがこれを指すことが多いと言えます。

最も簡易的なフライトシミュレーターは、 飛行方式訓練装置 と言います。このレベルになると、窓に画面はついていないものがほとんどであり、特定機種の操縦室のみを正確に模倣しているだけです。そのため、映像や音声による飛行を体験することはできず、無線交信や計器類を通してのスイッチ操作による計器の表示を確認できる程度です。

都内近郊エリアのフライトシミュレーター施設一覧

LUXURY FLIGHT(大田区)

LUXURY FLIGHTは、都内でも有数の再現度の高いフライトシミュレーターを一般の人に開放している施設になります。場所は羽田空港から電車ですぐの、京急空港線穴守稲荷駅または京急空港線・モノレールの天空橋駅から徒歩圏内です。

体験できる機体は「ボーイング737」と「G58 Baron」です。G58 Baronは聴き慣れない名前ですが、双発のレシプロ軽飛行機で操縦士を含む6人乗りの飛行機です。ボーイング737は言わずと知れたジェット機です。この施設で利用可能なシミュレーターは、訓練用ではなく、また動揺装置も備えておりませんが、できるだけ実機に近づけたコクピット空間となっています。

LUXURY FLIGHTでボーイング737を操縦した後、そのまま羽田空港に行き、ボーイング737に乗って旅行に行く、といった荒技も可能です。

  • 場所
  • 利用できる機体
    • ボーイング737-800
    • G58 BARON
  • 料金
    • ボーイング737(一般料金)
      • 15分: 3,300円
      • 20分(キッズのみ): 3,300円
      • 30分: 11,000円
      • 60分: 18,700円
      • 90分: 24,200円
    • G58 BARON(一般料金)
      • 15分: 2,750円
      • 30分: 5,500円
      • 60分: 12,100円
      • 90分: 16,500円
      • 120分: 18,700円
      • 180分: 20,900円
    • その他多数の料金プラン、利用メニューあり
  • Webサイト

スカイアート・ジャパン(品川区)

スカイアートジャパンも都内でも有数の再現度の高いフライトシミュレーターを一般の人に開放している施設になります。場所は、品川駅から徒歩10分程度のところにあります。

利用できる機体は「ボーイング777-300ER」「ボーイング737MAX」の2機です。ボーイング737は、ジェット機の中では小型ですが、それでも十分ジェット機のフライトを味わうことができる機体と言えます。

シミュレーター利用中は、本物のプロのパイロットの方がインストラクターとして同席してくれます。普段は聞くことができないパイロットならではの話を聞くこともできそうです。

また、スカイアート・ジャパンでは、フライトシミュレーターの利用だけでなく、テレビや雑誌、Webメディアなどでの撮影用途での利用であったり、各種エアライン・グッズの貸し出し、キャビン・モックアップ・スペースを貸し切ってイベントやパーティーを行うといった使い方も可能です。

  • 場所
    • 東京都品川区北品川6-7-29 ガーデンシティ品川御殿山 A-104 [Google Map]
  • 利用できる機体
    • ボーイング777-300ER
    • ボーイング737MAX
  • 料金
    • 平日30分プラン: 11,000円(キャンペーンにより5,500円〜)
    • 平日60分プラン: 20,000円(キャンペーンにより10,000円〜)
    • 平日90分プラン: 29,000円(キャンペーンにより14,500円〜)
    • 平日120分プラン: 36,000円(キャンペーンにより18,000円〜)
    • 土日祝日・本格パイロット訓練コース: 16,000円〜
    • 土日祝日・シミュレーター体験コース
      • 15分キッズ&ジュニアフライト: 6,000円
      • 30分コース: 11,000円
      • 60分コース: 20,000円
      • 90分コース: 29,000円
      • 120分コース: 36,000円
    • その他多数の料金プラン、利用メニューあり
  • Webサイト

羽田エクセルホテル東急(大田区)

羽田国際空港の第2ターミナルに直結の空港ホテルの1つである「羽田エクセルホテル東急」では、2019年7月18日以降、フライトシミュレーターが設置された「スーペリアコックピットルーム」が誕生しました。客室内にコックピットが設置されています。宿泊のみのプラン(シミュレーターの利用は不可)と、シミュレーター体験のみのプランがあります。

利用できる機体は「ボーイング737-800」となっています。このプランでは、インストラクターの指導の元、羽田空港から伊丹空港までのフライトをシミュレーターで操縦することができます。

宿泊プランではシミュレーターを利用することはできませんが、コックピットのすぐ近くで眠りにつくことができると考えるとワクワクしてきます。

航空科学博物館(千葉県山武郡芝山町)

航空科学博物館は、成田空港からバスやタクシーを使って10分程度の距離に位置します。「博物館」と言う名前の通り、フライトシミュレーター以外にも、ボーイング747-400の大型模型やエンジンの解説、キャビンのモックアップなどもあります。また、立地が成田空港のすぐ近くと言うこともあり、展望室から離発着する本物の飛行機を眺めることも可能になっています。

利用できるシミュレーターの機体は「ボーイング737MAX」「ボーイング777」「DC-8」の3台です。DC-8を知らない人もいると思いますが、以前はJALでも利用されていた機体で、座席数150程度の中型機です。航空科学博物館では、短時間のフライトシミュレーターの利用を前提としており、低価格で体験することができるようになっています。ただし、利用する場合には、博物館のエントランスで補助整理券を受け取った後、シミュレーター前で再度受付票を受け取る必要があります。1日最大30組程度の利用となるため、場合によってはせっかく訪れたのにシミュレーターの体験ができなかった、となる可能性も十分にあります。

  • 場所
    • 千葉県山武郡芝山町岩山111-3 [Google Map]
  • 利用できる機体
    • ボーイング737MAX
      • 本格的なシミュレーター
    • ボーイング777
      • 簡易的なシミュレーター
    • DC-8
  • 料金
    • ボーイング737MAX
      • 1フライト1,000円
    • ボーイング777
      • 1フライト500円
    • DC-8
      • 1フライト100円
    • 別途、航空科学博物館への入場料が必要
      • 大人 500円
      • 中高生 300円
      • 子供(4歳以上) 200円
    • 駐車場利用料は無料
  • Webサイト

羽田空港国際線旅客ターミナル(大田区)

羽田空港の国際線ターミナルにある、空港併設の簡易的なフライトシミュレーターを楽しむことができます。シミュレーターは本格度合いは他の施設と比べて低いものの、設置台数は全部で4台となっており、待ち時間なく利用することができそうです。利用料金はわずか200円なので、待っている人の列にもよりますが、1日の間で何回でも満足いくまで楽しむこともできそうです。

利用する際は、インストラクターの方は不在なので、自身で説明書を読みながら理解し、利用する必要があります。また、どの機体を操縦している、といったことを体感することはできないので、あくまでもフライトシミュレーター体験の最初の入り口に使ってみる、と言う形になりそうです。

JFlight(神奈川県横浜市)

JFlightは神奈川県横浜市・桜木町駅の近くにあるフライトシミュレーターを楽しむことができる施設です。利用できる機体はエアバスのA320となっており、都内近郊エリアで唯一エアバス機が利用できるフライトシミュレーターとなっています。他の施設と同様に動揺装置はついていませんが、本格的なフライトを楽しむことができそうです。

  • 場所
    • 横浜市中区花咲町3-103-2 アマデウスビル2F [Google Map]
  • 利用できる機体
    • エアバス A320
  • 料金
    • ソロフライト
      • 30分 7,200円+税
      • 60分 12,800円+税
      • 90分 16,800円+税
      • 120分 19,200円+税
    • 2名フライト
      • 30分 10,800円+税
      • 60分 19,800円+税
      • 90分 25,200円+税
      • 120分 28,800円+税
    • トレーニング・フライト
      • 30分 13,000円+税
      • 60分 23,000円+税
      • 90分 30,000円+税
      • 120分 35,000円+税
  • Webサイト

まとめ

今回の記事では都内近郊で利用可能なフライトシミュレーターについてまとめてみました。多少お金が高額になってしまったとしても、本格的なフライトシミュレーターを確実に体験してみたい場合は、「LUXURY FLIGHT」「スカイアート・ジャパン」「JFlight」を利用してみるのが良いでしょう。

また、複数人での利用を考えている場合は、プランによっては対応していないものもあるので、事前に調べてから行くようにしましょう。