私はここ8年くらいモバイルルーターを持ち歩いています。今まで使ってきたモバイルルーターは、ワイモバイルのPocket WiFi系が多かったのですが、2015年10月以降はNECから発売されているAterm MR04-LNという機種を使っています。普通なら、新機種が発売されると飛びつくことが多い自分ですが、この端末に限って言えばそんなことはなく、1年以上に渡って利用しています。

では、そんなAterm MR04-LNのどこがいいのかまとめてみます。

Aterm MR04-LNの基本スペック

項目 スペック
発売年月 2015年7月
発売価格 Amazonで¥12,700〜
バッテリー接続時間
(LTE/3G接続時)
約12時間
LTEバンド 1, 3, 8, 11, 18, 19, 21
無線LAN ac対応(2.4GHz, 5GHz)
充電端子 microUSB
SIMサイズ microSIM

その他の特徴として、初期時点からSIMロックフリーの端末であり、なおかつSIMスロットを2つ備えるデュアルSIMに対応しています。

SIMフリーかつデュアルSIMに対応

デュアルSIMとは、2つのSIMカードスロットを持つ端末のことであり、その1台の端末で接続先のネットワークを切り替えることができる携帯電話端末のことを指します。デュアルSIMに対応したスマートフォンであれば、2つのSIMを指すことでSIM切り替えの手間はかかりますが、2つの携帯電話番号を利用することができるようになります。

MR04-LNの場合は、音声通話には対応していないですが、2種類のSIMを指して使うことができるようになります。データ通信端末におけるデュアルSIMの使い道は大きく2つです。

格安SIMの無料枠を組み合わせる

例えば、So-netの0 SIMを使うと、月間通信量500MB未満であれば無料で利用することができます。さらに、DTI SIMの場合、契約後半年間はデータSMSプラン3GBを無料で使うことができます。つまり、So-netの0 SIMとDTI SIMを3GBプランで利用すると、最初の半年間は3.5GBまで無料で利用することができます。通常のモバイルルーターで2つのSIMを併用しようとすると、無料枠を使い切ったら、SIMカードを抜いて次のSIMカードに差し替える手間が必要です。さらに使っていない方のSIMカードは無くさないように(かつ、いつでも利用できるように)保管しておく必要があります。

しかし、デュアルSIMであれば、2つのSIMカードは端末に指したままで、どちらのSIMを利用するかの選択を切り替えるだけで済むようになります。また、格安SIMは時間帯によって繋がりにくいタイミングもありますので、利用しているSIMの速度が遅いと感じたらもう一方のSIMに切り替えて使うようなことも可能です。

海外で現地のSIMを利用する

Aterm MR04-LNを本格的に使いこなすなら、海外旅行での現地SIM利用でしょう。海外で日本のSIMを利用すると、日本の通常のパケット定額プランが適用されないため、知らないうちに高額の利用料が請求されてしまいます。とはいえ、今は海外旅行でも日本と同様にインターネットが使えないと困る時代です。そんな海外でのインターネット利用の主な方法は

  • 日本の携帯会社の海外用プランを利用する(DoCoMoの場合、最大2,980円/日)
  • 海外向けのWiFiルーターをレンタルする(イモトのWiFiの場合、1,280円/日〜1,580円/日程度)
  • SIMフリー端末に現地で購入したSIMを利用する(国・利用通信会社によって変わるが、概ね7〜14日で1,500円〜4,000円)

のどれかを使うことが一般的になっています。日本の携帯会社の海外用プランを利用したり、WiFiルーターのレンタルを利用する場合は、1日単位で1,000円単位の費用が発生するため、長期滞在になればなるほど費用が嵩んでしまいます。しかしながら、SIMフリー端末に現地でSIMを購入して利用すれば、1日単位での費用は発生しないので、長期滞在に向いたプランになります(長期といっても2〜3泊程度するならSIMフリー端末を利用するプランがおすすめです)。

Aterm MR04-LNは、SIMフリー端末なので、このような海外での利用にも最適です。さらにAterm MR04-LNはモバイルルーターなので、この1台分のSIMカードだけ調達すれば、普段使っているスマートフォンやタブレットさらにはパソコンといった通信機器は全てこのモバイルルーター経由でインターネットに接続することができるので、一石二鳥です。さらに同時接続可能数も16台と余裕があるので、海外旅行に友人何人かと行ったとしても、全員のモバイル端末をこの1台で共有してインターネットに接続することもできそうです。

さらに通常のSIMフリー端末であれば、現地のSIMを利用している間、日本で使っていたSIMは別の場所で保管しなければなりません。SIMカードは非常に小さいので何かの拍子に失くしてしまう可能性もあります。しかしながら、Aterm MR04-LNはSIMスロットが2つあります。日本で2つのSIMを指して利用しているケースであっても、海外旅行中はSIMを1つ外して自宅の安全な場所に保管することも可能です。SIMスロットが1つ空いた状態であれば、新たなSIMを指すためにSIMカードを抜く必要はないので、海外でのSIMカード紛失のリスクを回避することができます。

Aterm MR05-LNとの違い

実はAtermシリーズは2016年9月に最新版となる「MR05-LN」が発売されています。どうせなら最新版の方がいいんじゃないの?と思っている人も多いと思うので、違いについて整理したいと思います。

  • 1.5GHz帯のキャリアアグリゲーションが可能になり、通信速度と安定性が向上した。
  • 連続通信時間の向上(WiFi接続時で+2時間)
  • SIMカードの種類がmicroSIMからnanoSIMに変更になった
  • デュアルSIMの切り替え時間の短縮ならびに自動切り替え
  • 同時接続台数が減少し、16台から10台になった

が大きな変更点かと思います。実はこれらの変更点にメリットを感じる人はほとんどいないと思います。というのも、キャリアアグリゲーションによる速度変化は微々たるものであろうし、連続通信時間ももともと12時間利用可能であり、これが2時間増えたところで大きな影響はないと思います(というのも12時間で足りない人は別途モバイルバッテリーを持ち歩いくでしょうし、それが14時間になったところでモバイルバッテリーを持ち運ぶことは変わらないと思います)。SIMサイズを普段意識している人はいないと思います。となるとデュアルSIMの切り替え時間が短縮されることが一番のメリットになりますが、このメリットのために3,000円を上乗せする必要はないと判断しています。

Aterm MR04-LNの価格

今まで書いてきたように、Aterm MR04-LNは魅力のあるモバイルルーターです。特に海外旅行に年1〜2回以上行く人であれば持っておくべきモバイルルーターと言えます。そんなAterm MR04-LNですが、値段も実は手頃な金額が設定されています。

1月19日時点では15,300円で購入できるようです。さらにOCNモバイルのSIMが付属したバージョンも販売されており、とりあえず一緒にSIMも買っておこうという場合はこちらがおすすめです。ここで購入したSIMは必ずしも利用しなければいけない訳ではなく、使う際には別途OCNと契約することで初めて請求が発生します。