9月に出張でシンガポールに行ってきました。そして、シンガポールに行ったついでにそのままマレーシアのクアラルンプールを観光することにしました。ということで、シンガポールからクアラルンプールまでの移動が必要になります。この区間は短距離でありながらも、飛行機での移動が便利で、1時間に1本以上のフライトが出ています。しかしながら、今回は何を思ったのか、空ではなく陸で国境を越えよう、と思い立ちました。日本は島国なので、国境を越えようと思ったら、飛行機か船を使う必要があります。しかしながら、シンガポール・マレーシア間のように陸でつながっている国同士では飛行機や船ではなく、バスで国境を超えることもできます。

ということで、本記事ではシンガポールからバスで国境を越え、マレーシアのクアラルンプールに行くまでの道のりをお届けします。シンガポールからクアラルンプールまでバスで行こうとしている方必見です。

バス vs 飛行機、それぞれのメリット・デメリット

シンガポール・クアラルンプール間は、多数の航空会社がフライトを設定しています。例えば、ジェットスターやエアアジアを使えば、片道30ドル程度で移動することができてしまいます。また、シンガポールは面積も小さいため市内から空港の移動はすぐにできてしまいます。クアラルンプールについても空港から市内まで特急電車を使って20分程度で到着します。本来であれば飛行機移動の場合、空港での待ち時間や空港〜市内の移動に時間がかかってしまいますが、このシンガポール〜クアラルンプールについてはそのような心配は無用です。恐らく、シンガポール市内〜クアラルンプール市内の移動で飛行機を使えば、2時間早く空港に着くようにしたとしても、4時間程度あれば移動できてしまいます。

一方で、バスを使うと渋滞状況や休憩時間にもよりますが、5〜7時間は必要です。到着地は、クアラルンプールの中心街ですが、到着地付近に宿泊するホテルがあるとは限りません。もし、宿泊するホテルがそこから離れた場所の場合は再度、タクシーなどを捕まえて移動する必要があります。とはいっても、バスにもメリットはあります。まずは値段。とにかく安いです。今回乗ったバスは僅か30シンガポールドルで移動することができました。さらに、この移動中は、ずっとリクライニングが可能な座り心地のよい座席に座っていることができます。これが飛行機だった場合、空港での待ち時間を過ごしたり、狭い座席に座っていたりする必要がありますが、バスならずっとリラックスして過ごすことができます。

以上のメリット・デメリットを図にまとめると以下のようになります。

移動手段 メリット デメリット
バス 値段がとにかく安い
座席のグレードが高い
時間がかかる
飛行機 短時間で移動できる 座席が狭い
費用がかかる

基本的には、飛行機での移動をお薦めしますが、「一度は陸で国境を越えてみたい」という変わったマインドを持った方であれば、バスを利用するのも悪くないと思います。

シンガポールの出発地点、チケット購入

シンガポールの出発地点は、高速バスのバスターミナルである「ゴールデンマイルコンプレックス」です。ゴールデンマイルコンプレックスへは、マリーナベイサンズからタクシーで7〜10分程度。ゆっくりする間もなく到着します。

ゴールデンマイルコンプレックスには、様々な高速バス会社が集まっており、予約なしで行ってもその場でチケットを購入してクアラルンプールまで行くことができます。どんなバスに乗ることになるのか不安かもしれませんが、店舗内にバス内の様子の写真が掲載されているので、安心して探すことができます。ざっと見た感じ、25シンガポールドルくらいのバスであれば、設備に差はないと思うので、時間帯がちょうどいいものを選ぶのがよいと思います。

自分は、「Grassland Express」というバス会社の「Super VIP」というバスのチケットを購入しました。値段は24シンガポールドルとリーズナブルです。出発時間まで45分あったので、もう少し早く出発できるバス会社がないか探しましたが、他の選択肢が見つからなかったので、その便に決定です。支払いはもちろんクレジットカードでの支払いが可能です。

付近には、両替所やマレーシアで使えるSIMカードを販売しているお店があるので、もしマレーシアの通貨やSIMカードを持っていなければこのタイミングで入手しておくのが良いと思います。

乗車したバスのスペック

乗車したバスは、「Grassland Express」というバス会社が出しているバスで、「Super VIP」というタイプのバスに乗車しました。運賃は、24シンガポールドル(日本円で約2,000円)。

車内は、こんな感じの3列(2列+1列)のシートになっており、このうちの2列シート側の窓際の座席が割り当てられました。座席総数も全部で26席とシートピッチはかなりゆったりしています。

座席は、35度のリクライニングが可能であったり、レッグレストやフットレスト、USB充電ポートまで完備されており文句なしのクオリティです。また、1人1つの毛布も準備されているので、冷えすぎる身体を温めることも可能です。また、1人1本のミネラルウォーターも配られるので喉が乾いたときも安心です。

乗車〜出国審査、入国審査

12:00にバスは出発し、その後はまずはシンガポールとマレーシアの国境を目指します。どのくらいの時間で国境に着いたか分かりませんが、全部で30分程度で国境に着いた気がします。

まずはシンガポール側で出国審査を行います。出国審査ではパスポートと貴重品を持っていくだけです。またかかる時間もそんなに長くなく数分の待ち時間で自分の番が来てパスポートにスタンプを押してもらい終了です。

出国審査が終わったらバスに戻ります。出国審査場は、空港と同じで後戻りできない構造になっているので、前に進みます。すると建物を出たところにたくさんバスが止まっていると思うので、その中から自分のバスを探します。ここで自分のバスが見つけられないと困ってしまいますので、バスの外観はちゃんと頭に入れておきましょう。可能なら、同じバスに乗車している人の顔も覚えておくと、いざというときに助かります。

全員がバスに戻ったら出国審査場を出発し、国境となる橋を渡ります。逆方向は、自家用車やバスだけでなくトラックも多数走っており渋滞していました。このとき、スマートフォンを見たら、シンガポールでしか使えないSIMカードは圏外になっていました。

国境を渡ったあとは、マレーシアへの入国審査です。この入国審査がとても時間がかかります。置いていかれないためにも、できるだけ早くバスを降り、自分の荷物をトランクルームから出して、入国審査の列に並ぶようにしましょう。自分は、バスを降りるタイミングで出遅れたため、同じバスに乗っていた人の中で後ろから2番目になってしまい、少し冷や冷やしました。イミグレーションでスタンプを押してもらい、その後荷物をX線に通して、バスに戻ります。

ここから先は、もうマレーシアに突入です。

マレーシア内をひたすら北上

マレーシアに入国後は、半島内をひたすら北上していきます。イメージとしては、山の中に1本の高速道路があり、そこをひたすら走っている感じで、窓から見える景色は山と木ばかりです。途中の風景をカメラで撮った気がしたのですが、何も残っていないので、写真はありません。

また、マレーシアに突入後は本来であればバスのWiFi設備が使えるはずなのですが、どういうわけかWiFiが故障中ということで、今回のバスでは利用できませんでした。

途中で休憩も2回ありました。1回目はガソリンスタンドでのトイレ休憩だったので、ガソリン補給も兼ねていたと思います。1回目の休憩は10分程度で、ほとんどの人は座席に座ったままでした。2回目の休憩はサービスエリアのような場所での休憩で、ランチタイムという位置づけらしく30分と少し長い休憩でした。このタイミングで、両替所があったので両替を行い、マレーシアで利用できるSIMカードを購入しました。SIMカードを購入し、インターネットを使えるようになったあとは、ランチをするつもりも無かったので、バスに戻ろうとしましたが、どうやら時間までバス内には入れないらしく、周辺を探索するしかない状況でした。

2回目の休憩場所をGoogle Mapで調べたら、ストリートビューがあったので、そのキャプチャを貼っておきます。ジョホールのYong Pendにある「Jalan Yong Peng」という場所らしいです。奥の小屋みたいなところの中に、飲食店や売店があります。

休憩後もひたすら北上していき、周りの風景が山からビルに変わってきたことで、ようやくクアラルンプールに近づいてきたことが分かります。クアラルンプール内は渋滞しており、なかなか進みませんが、19:00ごろにlmbiというクアラルンプールの中心地に到着し、長かったバスでの旅が終わりです。最初にバスのチケットを予約したときは、lmbiではなく次の停留所で降りる予定でしたが、渋滞で進まないのが辛いので、lmbiで降りました。

バス旅のまとめ

今回のシンガポール・クアラルンプール間のバス旅をまとめます。

  • 費用: 24シンガポールドル(日本円で約2,000円)
  • 所要時間: 7時間(入出国審査の約30分、ランチ休憩30分を含む)

Google Mapのタイムライン情報をもとに、通ったバスの経路と所要時間を地図に反映させました(マレーシアに入国後、SIMカードを購入するまでの間、インターネットに繋がらなかったので、その分の経路が概算になっています。)

合計7時間の長旅となりました。次に同じことをするかどうかを聞かれたら、間違いなくバスではなく飛行機を選択すると思います。とはいえ、陸で国境を超えるという望みをわずか2,000円で叶えることができたのは良い経験です。

皆さまの中にも興味のある方がいたら、是非挑戦してみてください。