11月に、島根に旅行に行ってきました。行きは、ANAマイラーらしく出雲空港ではなく米子空港を利用し、帰りは一度乗ってみたかった寝台特急「サンライズ出雲」に乗車しました。

ANAの飛行機に乗ることとサンライズ出雲に乗ること以外の目的はなく、土曜日の昼に羽田を発ち米子入りした後、松江で宿泊し、翌日の昼に出雲まで移動し、出雲大社近辺の観光をした後、出雲駅から出るサンライズ出雲(A寝台デラックス)に乗り、翌朝(月曜)東京駅に到着し、そのまま出社する、というプランでした。

この記事ではその中のエンディングにあたる「出雲駅から東京駅までのサンライズ出雲号への乗車」について紹介します。

寝台特急「サンライズ出雲号」とは?

現在の寝台列車

以前は、大阪駅〜札幌駅間を22〜23時間くらいかけて運行する「トワイライトエクスプレス」を始めとし、東京駅〜大阪駅間で運行されていた寝台急行列車「銀河」、上野駅〜札幌駅間を運行していた寝台特急列車「北斗星」など数10種類の寝台列車が運行されていました。

しかしながら、列車の老朽化や深夜バス・LCCなどの登場により、寝台列車が衰退していきました。結果、定期列車として現存しているのは、サンライズ出雲号・瀬戸号のみとなります。

サンライズの運行スケジュール

現在、サンライズは東京駅と出雲市駅、東京駅と高松駅を結ぶ2つの路線が存在します。下り列車については、この2つの路線の列車が連結された形で東京駅を出発し、岡山駅まで連結されたまま走行します。岡山駅から、これらは連結が解除され、それぞれ出雲市駅と高松駅に向けて走行します。逆に上り列車については、2つの列車が出雲市駅・高松駅を出発し、岡山駅でこれらが合流・連結され、東京駅に向けて走行します。

途中の停車駅は、上り・下りによっても変わってきますが、東京駅の他に出雲号・瀬戸号が連結された状態で「横浜駅」「熱海駅」「沼津駅」「富士駅」「静岡駅」「浜松駅」「大阪駅」「三ノ宮駅」「姫路駅」「岡山駅」に停車します。出雲号はこの他に、「倉敷駅」「備中高梁駅」「新見駅」「米子駅」「安来駅」「松江駅」「宍道駅」「出雲市駅」に停車し、瀬戸号は「児島駅」「坂出駅」「高松駅」に停車します。

運行時刻は、上りは東京駅を夜22:00に出発し、途中色々な駅に停車しながら、翌朝6:30ごろに岡山駅に停車し出雲市駅行きと高松駅行きに分かれ、出雲市行きは朝10:00ごろに出雲市駅に到着、高松駅行きは朝7:30ごろに高松駅に到着します。

下りの場合は、出雲号が出雲市駅を夜6:50ごろに出発、高松号が高松駅を夜21:30に出発し、それらが岡山駅で夜22:30ごろに合流、連結し東京駅を目指します。途中大阪駅を夜24:30ごろに停車するなどして、翌朝7:00ごろに東京駅に到着します。

サンライズの座席

サンライズ出雲号・瀬戸号には、大きく3種類の座席が存在します。最もグレードの高い座席から「A寝台」「B寝台」「ノビノビ座席」となっています。このうち、「A寝台」「B寝台」には鍵をかけることができる個室が割り当てられており、「ノビノビ座席」は個室ではなくカプセルホテルに近い形式(カプセルホテルよりも、開放的な座席)となっています。では、それぞれ詳しく見ていきましょう。

A寝台個室

A寝台個室は、1人用の個室となっており、サンライズの中でも最もグレードの高い個室となっています。座席グレードとしては、新幹線におけるグリーン席のような位置付けで「A寝台」が設定されています。

個室内には、1人用ベッドの他に、テーブルと椅子、洗面台が設置されています。上の写真はデスクしか写っていないですが、当然ベッドもあります。電車の中でこれだけ広いスペースが確保できるなら十分に乗る価値があると思います。とはいえ、利用する区間が、東京駅〜岡山駅のように、完全に寝るためだけにサンライズを利用する場合は少しオーバースペックかもしれません。逆に、東京駅〜出雲市駅のように、寝るだけでは時間を持て余してしまうような区間に乗車する場合は、起きている時間の有効活用のために、机が設置されているA寝台は重宝します。

なおA寝台は、サンライズ出雲号・瀬戸号共に6部屋ずつ設定されています。東京〜岡山間を利用する場合でも12部屋しか存在しないので、競争は熾烈になると思われます。

金額としては、乗車運賃の他に、指定席特急料金、寝台料金、グリーン料金(に相当するもの)が加算されるイメージです。値段にすると、東京駅〜出雲市駅間が約30,000円で乗車することができます。

B寝台個室

B寝台個室は、さらに4種類の座席種別に区別することができます。座席グレードとしてはどれも、新幹線における普通席のような位置付けとなります。B寝台の4つの座席種別は、2人で利用することができる個室と、1人で利用するための個室に分かれ、さらにそれぞれ部屋の作りによって2種類ずつに分岐する形になります。

2人で利用することができるB寝台個室は、出雲号・瀬戸号共に7部屋ずつ設定されています。こちらはA寝台に比べて1部屋ずつ多く設定されているものの、2人で利用したい人がこの7部屋に集中するので、最も競争が熾烈な座席のようです。

1人で利用することができるB寝台個室は、出雲号・瀬戸号共に22部屋ずつ設定されており、最も多い座席種別となっています。

金額としては、乗車運賃の他に、指定席特急料金、寝台料金が加算されるイメージです。A寝台と比較すると、グリーン料金(に相当するもの)の分だけ安く済みます。値段にすると、東京駅〜出雲市駅間が約23,000〜25,000円で乗車することができます。

ノビノビ座席

ノビノビ座席は、A寝台・B寝台と異なり、個室ではなく、オープンスペースとなっております。カーペット敷きの空間に1人ずつの寝るためのスペースが区切られている形になっています。オープンスペースなので、当然ながら鍵をかけることはできないですし、防犯上の理由で電気も完全に消すことができないようになっています。

1人用のB寝台と同様で座席自体は多数設定されており、出雲号・瀬戸号ともに28席ずつ設定されています。座席数が多いので、予約しやすいと思い込みがちですが、料金がとんでもなく安いことから非常に高い競争率となっています。

金額としては、乗車運賃の他に、指定席特急料金のみが加算されるイメージです。B寝台個室と比較すると寝台料金の分だけ安く済みます。値段にすると、東京駅〜出雲市駅間がおおよそわずか16,000円で乗車することができます。A寝台個室と比較すると約半額になるため、人気になるのも仕方がありません。

乗車レポート

今回乗車したのは、「A寝台個室」になります。寝台列車に乗る機会もそんなに多くないのと出雲市から東京駅は約12時間の電車旅になるので、どうせだったら一番設備のしっかりしたものに乗ってみたい、という想いであったり、予約をした時に「A寝台個室」に空きがあったことなどが理由となります。予約をしたのが、乗車の4日前くらいだったので、A寝台個室は最後の1室だったようです。

外観と内観

サンライズの外観はこのようになっています。内部が2階建になっているため、外から見ると窓が車体の上部と下部に設置されていることがわかります。


A寝台個室の中は、下記のようになっています。さすが寝台列車におけるグリーン車というだけあって、電車内とは思えないような広さとなっています。深夜の移動といえば、深夜バスがありますが、深夜バスとは比べ物にならないです。



A寝台個室から外に出ると、廊下に出ます。廊下もきれいに保たれており、清潔感も十分です。

他に、シャワールームや、休憩スペースなどもありますが、今回は写真を撮っていなかったので、その他の設備を見たい方は他のブログやYoutubeなどを見ていただくと良いと思います。

A寝台の乗客に配られるアメニティ

自身が乗車した時は、出雲市駅から乗車し、駅を出発した直後に車掌さんが検札にきて切符の確認をすると同時にアメニティ袋をいただきました。

アメニティ袋には、シャンプーやボディーソープ、歯ブラシ、髭剃りなど普通のビジネスクラスと同レベルのグッズが入れられています。また、B寝台やノビノビ座席の場合は別途購入が必要なシャワーカードについても、アメニティ袋の中にタオルと一緒に入れられています。また、シャワールームは、A寝台の乗客専用のシャワールームがあるので、混雑することなく利用できます。

A寝台個室の乗り心地

最後にA寝台個室に乗った乗り心地です。まず、個室のハード面については電車内とは思えないほどの素晴らしい設備を備えており、文句のつけようがありません。ハード面を例えるなら、シンガポールのスイートクラスに迫る勢いだと思います。一方で、ソフト面を見て見ると、サンライズ車内では食事(車内販売も含め)が提供されていなかったり、飛行機のような乗車前のラウンジなども存在しない点が残念です。自身が出雲市駅に到着してから出発まで1時間くらい時間があり、かつ駅周辺には何もないので時間を潰すのに苦労しました。

次に、電車の揺れと音についてです。音については、事前に耳栓とノイズキャンセリング・ヘッドホンを準備しました。最初は、ノイズキャンセリング・ヘッドホンだけを使っていましたが、それでもまだ音がうるさかったので、耳栓も併用しました。この2つを併用すると、音については全く気にすることなく過ごすことができました。電車の揺れについては、今回利用したのが2階建車両の2階部分であり、さらに深夜の東海道線(在来線路線)を高速で疾走していることもあり、特に大きな揺れとなりました。とはいえ、途中三ノ宮駅を0:00頃に停車したまでの記憶は残っているのですが、それ以降は翌朝の熱海〜横浜くらいまでの間眠りに入ることができました。

参考までに、利用したノイズキャンセリング・ヘッドホンはこちらになります。

まとめ

今回、日本では消えつつある夜行寝台列車に乗車するために、出雲にいき、サンライズ出雲号のA寝台個室に乗りました。今回は初の寝台列車ということで、少し興奮気味の状態で乗車する形となりましたが、もう1〜2回くらい乗って見たいな、と思いました。